NHKのメニュー

 牧野効果で、朝ドラを見ようとして、結果あさイチもチラ見するようになった。
 博多人が嫌いなわけではないが、朝ドラを見なくなったら、あさイチも見なくなっていたんだ。
 で、腸内細菌からみる五つのタイプと病気リスクという話。初出の話題ではなく、ここ何年かで各メディアで取り上げられているが、NHKは何かに例えるという部分でWBC 侍ジャパンを持ってくるという技を見せた。
 過去の腸内細菌による5分類と疾患リスクの説明の中では、一番印象に残りやすいかもしれない。が、ここではNHKの比喩は割愛。

A 肉と脂に偏る→高血圧・糖尿病、心・神経・肝疾患リスク
獣肉マニア
B 肉魚・根菜・穀物・茸・海草とバランスが良い→健康
典型的雑食
C ご飯・麺類・小麦粉に偏る→隠れ栄養失調、炎症(癌)リスク
おかず不要の炭水化物デブ
D バーガーセットにコーラ→腸炎症、肝・胃腸疾患リスク
肉と糖質のしもべ
E 一汁三菜香の物・少量多品のバランスの良さ→健康
料理好きベジタリアン・玄米和膳好き

 番組ではEについて「和食」という言及もあったのだけど、同じあさイチでポークソテー(豚のしょうが焼き)を和食と言っていたので、語弊があると思うね。
 和洋食はこの分類ではBに入る。和食でも質素すぎる和食はCになるかもしれない。特に近代日本の食文化疾患である脚気は白米依存のビタミンB1不足、つまり栄養失調である。玄米(糠)だったら脚気は避けられただろう。
 寿司でもマグロ握りばかりになれば、これもAに近付くだろう。
 レストラン風に言えば「和食」とでもいうか、惣菜が豊富なセットメニューなどで、根菜・茸・海草あり、魚や大豆たんぱくあり、ご飯などの炭水化物もあり、一口デザートまで付いているような、ちょっと贅沢な和だと限定すべきだろう。そうでなければEにはならない。
 ベジタリアンと言われるとぴんと来ない人もいるかもしれないので「和食」という言い方をしたのだろうが、豚しょうが焼きを和食として紹介した番組なので、おかしな話になってしまう。
 和食という言葉を便利に使いすぎて、本来NHKがこだわってきた言葉の定義が御座なりになっているようだ。

 そこは博多人の雰囲気や、実際の映像をちょっと入れたからいいと流していけないんじゃないなかな?
 明示ない雰囲気重視というのも自民党風、今風だけど、健康や疾患リスクの話でもある以上、丁寧な説明はあっていい。先生のオリジナルシェイクだけでは誤魔化されないぞ!

 で、同じく最近のあさイチで取り上げたスパイス処理メニュー。クミンとヒジキ煮なんて組み合わせを知り、スパイスも栄養素として、この5分類の微調整に使いたいと感じた。
 そもそもインドカレーの大半はベジタリアン料理であり、日本風にいえば薬膳料理に近いニュアンスもある。漢人の言葉を借りれば医食同源という思想に通じる。
 というわけで朝食をハムチーズトースト一枚にしていた最近だが、それに何か一つスパイスを足すことにした。
 クミンも良かった。オレガノ&バジルも良かった。パスタも高くなったから、久しく食べていないので、オレガノ&バジルを使わなくなった。他にも唐辛子や胡椒も無難に美味しい。

 最近は海草でもヒジキが好きになってきた。子供の頃はヒジキの臭いが嫌いだったけど、老化で臭覚が鈍感になったようだ。食物繊維をとるために根菜や豆、茸、海草という話だったが、伝統的なヒジキの煮物なら一品で賄える。
 水煮豆、人参は良く見られる組み合わせ。揚げなら大豆蛋白、蒟蒻なら根菜の扱い。ちくわなら動物蛋白、刻み椎茸でミネラル・食物繊維追加。
 クミンもビタミン・ミネラルを追加できるので、入れないよりは入れた方がいいかも。
 古典的にはこれこそ和食だと思うけど、豚しょうが焼きを和食と紹介していたので、語弊というかズレが生じてしまう。豚しょうがはあくまで和洋食という域を出るべきでないと思うんだよね。

 和食と和洋食の明確な線引きは難しいけども、それでも線引きをしないと今回のように雰囲気で使った「和食」の映像にブレが生じてしまう。いちいち「伝統的和食」というぐらいなら、後発の近代家庭料理を和洋食と呼ぶ方が字数的にもいい。
 はっきり言えば、肉を使った料理は和洋食でいいと思うんだよね。
 博多つながりで筑前煮は鶏肉を使うけど、日本人は江戸時代まで、鳥・猪・鹿以外の肉は仏教的忌避からほとんど食べなかったという。クジラは近代まで魚の扱いだし、馬肉なども原則として食べるために飼育したり殺したりしていたわけではない。
 だから獣肉には隠語があり、猪(牡丹)、鹿(紅葉)、馬(桜)というが、クジラや鳥にはそれがない。ここでいう鳥というのは鶏だけではなく、雀や鴨など野鳥の肉も含む。

 というわけで、特に牛肉や豚肉を使う料理は伝統的古典和食とは言いがたい。もし筑前煮が鶏肉以外で作られることがあったら、大胆なアレンジ料理ということになる。
 もちろん、鶏肉をつかった海外の料理もあるので、フライドチキンを和食ということもない。
 餃子のようにルーツを辿れば漢文化どころか、メソポタミアに辿りつくものも多いが、日本に伝わった瞬間を見れば餃子は中華料理起源だし、エビチリは和中華というべきだろう。それが江戸時代以前に入っていれば、古典文化の新しい方でもいいが、明治以降の明確な西洋化志向の中で定着したものは、例えば肉じゃが(ビーフシチューやポトフに由来)などは和洋食の範疇だろう。

 自分は学者ではないので、NHKこそ言葉の使い分けと並行して、日本食文化の論文でも作るように一つドキュメンタリー番組でも作るべきだろう。
 そして、少なくとも「豚しょうがは和食ではなく、和洋食」と分ける慎ましやかなこだわりを見せて欲しい。

グルメ漫画の和風レシピも干し柿にしかず
山葵を使う創作カレーより干し柿のعرسية(アーセィーヤ)を

アーセィーヤ:某局某番組でオマーンの母娘が作った料理。ラテン字転写でArsiya(Ersiya)とかUrsiiahで検索すると、YouTubeで他の調理動画も見られる。
某番組では甘いナツメヤシ(デーツ)をそのまま添えていたが、日本にはなかなかないので、干し柿が近いかもしれないと思っている。酸味のない甘い果実といえば、アケビか柿。やっぱり柿だろう。柿ジャムを自作してもいいけど。日本では秋冬の料理になっちゃうね。

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