久しぶりに カスタマイズ

寒風に涙目ドリンクはホット

Ніч Літати Воля

 第三の名前を手に入れた。
Night Flight Might
Nuit Vol Volonté
Ніч Літа・ти Вол・я
 最初の英語版は単に -ight の音韻で遊んだだけだった。
 フランス語への憧れと自動翻訳技術の普及により、ブログ移転に伴うフランス語版もvol vol- に音の遊びを残した。
 ウクライナ語にするに当たって、先ずキリル文字が全然分からない。自分が分かるのはCCCPがSSSRになるぐらい知識で、ラテン文字と違い手書きの書き方もわからない。言葉遊びは先ず「語幹」あるいは「語根」を見つけることから始まる。それに接頭辞、接尾辞などを探すのだけど、表音文字の場合は「音節」に気付くことで語幹が見つかることもある。
 ただ、例えばロシアなどの言論弾圧の歴史が長い国では、言語が発展していないため、表現の多様性、語彙が少ないということもある。言い換えは可能だが、ロシア語はなんとなく語彙が少ないと感じた。ウクライナ語の方が少し語彙が多いかもしれないなぁとGoogle翻訳を使いながら感じたんだけど、詳しくはしらないよ。厳密に単語量を比較したわけではない。

 で、「Ніч (Nich)」は夜。「Літати (Litaty)」は飛ぶこと、「Воля (Volya)」が意志、自由、遺言というニュアンスもあるらしいな。Воля にvol の音があるので採用しました。

 なぜ「点」を入れているのか?
 「Літа→夏(літо)」「ти→君、あなた」「Вол→雄牛(віл)」「я→私」という風に語幹どころではなく、全く別の意味になってしまうことに妙な面白さを感じたから。
 元々、自分のブログネームはアルファベットが連なってできる単語を、一字の漢字のように扱い、文法を無視して単語を羅列させる、漠然と並べるだけで、ニュアンスを引き起こす遊びだ。連想ゲーム(Асоціативна гра) と同じ。
 全ての元になっているのは「夜 (自由)」「飛 (夢想)」「力 (信念)」の三つであり、それに連なるニュアンスの単語を探す。「夜」と「飛」は比較的簡単。
 だけど、今回は・・・

 Flight やVol の「飛行」という名詞形は、ウクライナ語で「політ (polit)」になるらしいけど遊びがない。で、飛行機だけでなく、鳥や人など様々なものが飛ぶイメージとしては「Літати」(多分、動詞形)の方がいいらしい。というのは、それぞれの単語を画像検索すれば一目瞭然。「політ」では飛行機などのフライトというイメージが固定してしまうようなのでやめました。
 で、この「Літати」の語幹を更に探ろうと単語途中で切ってみたら、「Літа→夏(літо)」「ти→君、あなた」という「飛」とは関係なさそうな意味が発生して、ウクライナ人の飛ぶイメージは「夏のあなたへ行きます」みたいなイメージなのか? と勝手に妄想を楽しんだのでした。北国だから、夏は飛ぶイメージなのかな・・・
 いつも困るのが「力(信念)」というわりと抽象的な部分。英語版「Might」はdynamiteと古い語源が同じ「力」に由来する名詞形「Might」だったのだけど、フランス語で適当な言葉を当てはめられず、「力」を「意志」と訳すことでvol vol- の遊びが生まれたわけです。
 ウクライナ語版でも先ずは「力」で「Потужність (Potuzhnistʹ)/ Влада (Vlada)」単語が二つ出てきたけど、音として面白い部分がなく却下。
 で、再び「意志」で訳すと「воля(volya)」が出てきた。フランス語版と同じvol が出てきた! きっと古い語源が同じなのかも知れないね。この単語がおもしろいのは、「Вол→雄牛」「я→私」という意味が発生すること。初めは雄牛だから「bull」のイメージが湧いて、「強い私の意志」を感じたよ。でも、違うの。「Вол(віл)」は去勢された雄牛なの。英語だと「ox」とか「bullock」に相当するらしい。男の強さみたいのはロックされてんだよね。皮肉めいていて悲しいじゃないか。
 つまり、「夜-飛-意志」をウクライナ語にすると、「Ніч Літати Воля」になり、ちょっと悪戯して分解すると「Ніч Літа ти Вол я」で「夜、夏、君、去勢牛、私」になるわけ。

夏の夜に君が・・・ 私は去勢されていて・・・

 切なくなるね。男なんで、切なさが増すよ。若くないから切なさがはんぱない。
 夜飛力→Night Flight Might には夢や希望、自由な想像力の逞しさを感じたのに、ウクラナイ語版「Ніч Літа・ти Вол・я」に隠された切なさ・・・
 よくよく調べていくとволя は女性名詞って奴でね、去勢牛が隠れているのと関係があるのかどうかは知らないけどさ。意味もスラブ語圏で「意志、自由、解放、決意、根性、欲望、遺言・・・」などで共通している。
 自由が奪われている国で「意志と自由」が一体になっているというこの単語が気に入ったんだ。
 で、自分は丑年生まれなので、去勢されてるけど雄牛というのも好感をもったね。丑年という概念は海外には伝えにくいね。
 というわけで、ロシアが完全撤退するまで、Twitterの名前はウクライナ語版にしてみますよ。

戦禍でもリヴィウは桜が咲くという