現代の暦では 立春 を迎えたが、中国のニュースで聞くように春節=日本で言う旧正月は今週末10日の土曜日である。
今暦3/13が旧暦2/4 立春になるので、旧暦だとまだ冬ということになる。今暦2月は旧暦だと大寒・小寒を含む最も寒い季節だ。
温暖化といわれても東京で雪が降るのも高確率で2月。偏西風の蛇行で気象も極化しており、寒暖差が激しくなっている。人は空調設備で耐えられても、動植物はみな裸なので辛いだろう。
鰯の群れが海水温低下で大量死したり、鰐が結氷した池から鼻だけ出していたり、シャチの群れが流氷に覆われたり、野生動物も窮地を克服したり、克服できなかったり。
一方で愛知県では、2027年までに県立高校の体育館などにエアコンが設置されるらしい。緊急時には避難所になる可能性もあり、生徒の熱中症対策としても随分出遅れた感じだ。
気候変動の原因が人間にあるので切なくなるが、結果が自然現象なのだから仕方がない。
生物は競争しながらも、生存環境を共有し共栄する関係でもある。ただ人だけがはみ出して環境を破壊し、生存に適さない過当破壊へと陥っていく。
生態系でも繁栄(個体数増加)と衰退(個体数減少)を繰り返しているが、人のそれは度を越えている。人類の急増と激減という乱高下は、乱開発と戦争のことである。乱開発と戦争こそが人類の代名詞というべきなのかもしれない。
さて、正月の鏡餅。現代ではプラ容器に小分けされた切り餅が入れられたものが主流になっている。
信州の故祖父の家では年末に餅つきをして、自前で鏡餅を作っていた。鏡開きの頃にはアオカビ・コウジカビが生える。まさに無添加。私が子供の頃の話だ。
ちょっとぐらいのカビなら、除いて焼いて食べる! その位しないと免疫力を失って、返って弱くなりますよ。免疫力が低下している人は食べない方がいいんだろうけど・・・
で、東京のうちのでも当然プラ容器の鏡餅だったが、今年になって随分昔の鏡餅が出てきた。確かに見覚えがある。
それは父の生前の鏡餅で、その当時に買ってきた父を叱ったことを覚えている。ちょうど世の鏡餅が 切り餅入り へと転換する過渡期で、父は古い切り餅入りでないフルサイズ鏡餅を買ってきてしまった。その理由は安かったから。それも上段と下段に分けられない最も古い型の鏡餅。
その頃には父も衰えが目立ち、フルサイズ鏡餅を切り分ける力がなくなっていた。それを前年の正月には自覚していたはずだった。にもかかわらず、うちで一番大きい鏡餅をフルサイズタイプで買ってきたのだ。
悪戦苦闘して何とか処理した前年と違い、結局鏡開きでも放置することになり、捨てるに捨てられず・・・2016年末に父が逝き・・・ 2024年この正月に老母が再発見したというわけだ。
変色していたが、やはり老母も捨てるに捨てられず、封を切って庭に捨てた。もちろん、うちで「庭に捨てる」というのは、野生生物≒野鳥にやるということだ。
餅なんか食うか? と自分はいぶかしんだけども食べた痕がある。初めはネズミにやられたのではと疑ったが、冷静に分析するとネズミが近付くには少しハードルが高い。鏡餅のプラ容器を裏返すとネズミ返しのような構造になり、プラ容器自体も滑るのでネズミが上れない。
それを古い火鉢を裏返した つくばい モドキに載せているので、これもネズミを寄せ付けない。ネズミが餅に近付くには木に登って飛び降りる必要があるのだ。
でも少しづつ減っている。
間もなくしてヒヨドリとメジロが代わる代わるに鏡餅を突いているのを目撃することになった。
しかも、雪解け水まじりになってもその水を飲みに来ていた。
冷凍保存しておいた果物の皮の在庫がもう2、3回分しかなかったのだけど、餅を突いているメジロが妙に肥えてるんだよね。
1.2~1.8kgぐらいの鏡餅。亡父最後の置き土産だから、たんと召し上がれ。
といっても、冷たい餅の固さは日本人なら分かるでしょ。それを嘴だけで突くので、全然減らない。お菓子の家ではないけど、食べても減らない夢の穀物天国の様だ。
全然減らないけど、しつこく突いている。冬の寒暖差が餅を次第に脆く崩しているのかもしれない。
余程、ナイフか何かで崩してやろうかと思ったが、懸命に食べる鳥たちを見て、これ以上の干渉を止めようと思った。気候変動のお詫びにしては足りないかもしれないけど・・・
鳥が渡る頃になっても当然余ってると思うので、その時に残りを餅をどうすべきか・・・
切り分けて来年用に冷凍しておこうかな。一度外に出したものだけど、腐敗させなければ鳥も気にしないんじゃないかな。なんなら乾燥させて軽く炙る事で熱殺菌するという手もある。
ここまで来たら捨てずに、徹底的に食べてもらうしかないか!
うんと古い鏡餅 亡父は鳥になる
うんと古いノート 昔の夢は夢のまま
うんと古いポロシャツ 色褪せ縮みぼろとなる
うんと古い鏡餅 亡父は鳥と旅立った
毎冬を少しずつ鳥たちに供給できたら、それも御供養になりますね
いわば散骨餅 失礼だったら、ごめんなさい
いや、まさに散骨餅! 言い得て妙
餅台になっている火鉢も遺品だからね
まさに灰つながり