止まるもの 止まらないもの

 いやぁ、プリゴジンのショーをSNSで夜通し追ってたので疲れちゃったよ。あのハゲ頭、なかなか歌舞いてるね。
 最近ではなかなかわくわくするショーだったけど、面白い物語ほど、終わり方が気になるよね。今、彼がどこにいるかは不明だそうだ。
 プリゴジンが3ヶ月以上生きたら、2023年10月以降も生きていたら、彼が天才だと認めるよ。犯罪者だし、テロリストだけど、天才だ。反対に10月前に粛清されていれば、悪目立ち坊主程度だったということだ。ソ連崩壊から混乱ロシアという地域と時代の寵児というだけ。
 時代の寵児というのも類稀な存在だけど、必ずその時代時代に出てくる流行みたいなものだ。出たいという欲を強く持ち、他を省みない傲慢さで竹の子のように伸びてくるものがある。それは人が群れをなす動物であることに由来していて、速さや強さ、未知の神秘性などに興奮し追従したくなる人の本能だ。同時に対抗心を燃やし競おうとする者も出てくると、自然と大集団になる。
 英語ではそういうのをスタンピード(stampede/群れの暴走)というらしいよ。
 オクラホマ スタンピードと言えばプロレスの投げ技だ。荒々しいカウボーイ風アメリカ人レスラーの技名で、同じ技でも他のレスラーが使うとアバランシュ(avalanche/雪崩、滑落)なんちゃらというらしい。

 というわけで自分はSNSでスタンピードを疑似体験していた。若い頃ならいざ知らず、今更暴走する歳でもない。暴走するにも武器も足もない。プリゴジンが滑落するかどうかはこれからの見物だ。
 ウクライナ軍はその間も進撃を続けた。ロシア軍の一部は国内の反乱騒ぎに便乗させまいとウクライナへの無差別砲撃をしていたようだが、ロシア軍の の方が大きいものだった。
 戦死者は戻らないが土地は戻る。プーチンの威信は戻らないが、破壊された自然はいつか回復するだろう。しかし異常気象は止まらないし、地球人口は減少を続けるだろう。物価の高騰は戦争とは別の理由、つまり気候変動の余波で止められなくなるかもしれない。
 世界は許容できる/すべき悪だと侮って無関心が過ぎた。人々は商売のことで手一杯で、どこかのタイタンのように無能無才を晒して沈んでいくばかりだ。辛うじて、浅瀬で藻が絡んだ者は一命を取り留めている。世界の現状はそんな状態だろう。
 今日明日中にもロシアでは何かしらの決定がなされるという。
 ワグネルが無事にベラルーシに入ったなら、プーチンのいるモスクワ、プーチンが逃げ込んだペテルブルグ、さらにはワルシャワやキーウからも近くなる。ワグネルがどの方向に進むのか次第で誰かの命運が決まることになるという仕掛けだ。しかも、そんなベラルーシに核を配備しようとしていたわけだから、プーチンは敵に塩どころか魚に昆布だし付きで送ってやったような皮肉だ。
 もちろんプリゴジンが生き残れたらの話。暗殺を生業とするプーチン集団が、戦争を生業とするワグネル集団を料理できるのかどうかがここからの見物。多少のタイムラグがあっても両者相討ちという可能性もあるだろう。

 水無月も終わりに近付き、夏越の時期に迎えている。
 だらけている間に庭の季節が進んだ。モジズリが咲いたり、コムラサキが咲いたり、テッポウやスカシ系のユリが咲いたりとはっきりしない天候の下でも季節の行進は止まらなかった。プリゴジンは止まったのにね。
 花っぽさのない千両も一応花の季節らしく、奇妙なものが付いている。
 ああ、夏だね。暑いし、なにもかも面倒臭いね。
 ヤブカンゾウも一番花を咲かせた。自家製金針菜の季節だ。すでに加賀太きゅうりを買ってあるので、今年も加賀太きゅうりと海老と金針菜の料理ができそうだ。
 先日までヤブカンゾウがうんともすんとも言わなかったから、金針菜は間に合わないかと思ったけど、花は季節を忘れていなかったようだ。
 ツケマリ風梅ソースは使い切ってしまい、共に夏越を迎えることはできなかったが、夏越前のツケマリはそれなりに楽しめた。物価の高騰さえなければ、色々と試したいこともあったけど、こんなもんだろうな。

 止まるか止まらないかでいえば、ああ~、先ず進まないし、そもそも立たないよ。面倒なことは嫌いだよ。巻き込まれた時は徹底的に暴れてやろうと思うけど、小一時間もせずに疲れちゃうだろうな。
 人が減れば、気候変動も緩やかになる・・・という時期は過ぎたが、それでも減らないよりは減った方がいい。
 自分のことを棚に上げるつもりはないが、もっと減らないかなぁ・・・いや、体重もね・・・

アイスクリームは覚えている雪辱ぞ

ტყემალი 風なもの

 先の見えない天気が続く。西の梅雨前線は再び台風3号を伴って大雨を降らしているという。
 そんなこととはつゆ知らず、ジョージア料理の初歩となるტყემალი(t’q’emali / ツケマリ / ケマリ)風なものを作った話。

 良くも悪くも関東は梅雨入り前の台風の影響で、クチナシが一斉に開花したり、青梅が急激に育ったりしたのです。
 うちの豊後梅もいつ収穫しようかと毎日見ていたのですが、台風後に一回り大きく育って色付き始めたので収穫しました。
 最近は梅三つ程度の少量梅酒ばかり作っていましたが、今年は1.2kgと少量梅酒だけでは余る。老母も久しぶりに砂糖漬けを作るというが、それでも余る。ついにツケマリ分の梅ができたのでした。

 それで作り方や材料を検索するとパクチーやディルなど、ハーブの調達が面倒そう。結局いつも行くスーパーで手に入るもので代用の代用でツケマリになりました。
 ちなみに某ジョージア大使のツケマリ動画がさすがに料理をしない男の動画編集であまり役に立ちません!!

 家にあるもので一味唐辛子、クミンシードを入れてみました。
 パクチー(とコリアンダーシード)とディルの代用としたのはセロリ、S&Bの乾燥パクチー、紫蘇、クミンシードです。乾燥パクチーと生パクチー・コリアンダーシードではかなり違う印象だけど、どうせ代用の代用だし、クミンとか匂いに癖のあるものを入れてみました。よほどドクダミの葉を少量とか考えたけど、自制しました。

 とりあえず、梅を煮て柔らかくなったら、種を取り除くために潰す。種を取るのが目的!
 あと、煮汁を全て捨てず、コップ1杯ハーブ類と合わせておくと便利。
 本来は漉すというほどの作業ではないないらしいが、目の荒い笊なんてうちにはないので、中でも一番目の荒い金笊で、結局は漉す感じなりました。漉せずに残った果肉も掬い、種だけ取れればいい。
 今回、ツケマリ分の梅は11個だけ。今年の庭の梅はこれでお終いです。

 さらに生パクチー・生ディル、ニンニクなどを細かく刻む。
 今回は紫蘇5枚、セロリ(紫蘇と同じぐらい)、ニンニク3片を細かく刻み、さらに唐辛子・乾燥パクチー・クミンシード(消費しきれず残っているハーブ類)・砂糖、そして種を取った梅ペーストとコップ1杯の煮汁を一緒に煮なおす。
 できたら容器に移して冷蔵。一晩以上寝かした方が美味くなるというよ。

実食 ハムチーズトーストに塗ってみる
 本物を食べたことはないけど、これはありだな。
 肉料理とか、スナックのディップとしてもあり。フライドチキンにつけるとか、ハンバーガーの味変とか、カップ麺(塩・味噌・とんこつ)の味変とかでもありな気がする。シーフードヌードルには微妙かも。
 梅の酸味に、ハーブ・香辛料で風味を加えて、砂糖が隠し味という印象。それをニンニクで丸々包みこむような味。
 ニンニクと梅という組み合わせが、日本ではあまり見られないから、食わず嫌いになりそうだが、食べて違和感はないはず。

 反省としてはニンニクをもっと丁寧に細かくすべきだったかも。あるいはもっと長く煮てニンニクを煮崩すか、半分はおろしても良かったかも。
 豊後梅は甘味が少ないので、追熟させて、少し甘味を出した方がいいのかも。酸味が好きな人は青梅のまま、甘味を出したい人は追熟梅。
 ジョージアでは砂糖をあまり入れないという。

 なんにしても、梅がたくさん収穫できて余り気味だという方は、ツケマリ風ディップを作ってみて欲しい。
 日本人ならではのオリジナル ツケマリがたくさん生まれそう。
 わりと焼き餃子にツケマリというのが面白いと思う。
 塩分を入れていないソースだけど、ニンニクがそれを補っているので、酸味だけになりがちなタイ料理の味付けとも違う。
 料理の味変を色々試したい人は、日本にない梅のディップ ツケマリを覚えて損はしない!

梅雨と台風よりツケマリと餃子かも

追記2024
ტყემლის საწებელი ケムリ(ს≒s) ツッケベリ???
ジョルジア梅(和名:ベニバスモモ / 紅葉李)のソース
ა≒A がないからケマリと発音しないの?
ა≒A がないのは慣用表記で発音では ა があるの?