旧年中の決着へ2

 山茶花は花がいつ終わるか次第で剪定したい。今切るべきなのは、松である。うちの松は父が生前に盆栽として頂いたものを直植えにして、ざっと四、五十年たったものである。盆栽の時点で十年たっているとすれば、樹齢は五、六十年前後ということだろうか。
 五葉松は旧ブログでも触れたが会津方面で買ってきたものらしいが、いずれにしろ私が生まれる前の話だろう。
 建て替え以前は大きなアカマツを含めて、松だけでも5本あったが、今はクロマツ2本と会津五葉松が1本の3本ある。と思っていた。
 親が「たぶん黒松」と言っていた松の剪定は先の記事にしたが、これは自分でも葉の断面をチェックして黒松系であると断定できたいた。立派な松ぼっくりも黒松らしい。

 さあ、もう一本の黒松も剪定してやりましょう。庭でも普段入らない「裏」と呼ぶ裏で、脚立を入れるにも外の道路から入れないとならない場所になる。
 人が入る道だけ確保してあるが潜るように入らなければならず、長枝切り鋏で強引にねじ切るぐらいはしていたが、久しぶりに脚立を入れて本格的に切ることにした。
 で、この木は放置されているだけあって、松ぼっくりをよく見かけるのだが、どうももう一本の黒松の松ぼっくりとは違う。未熟で、雑な感じがする。
 下の方に枝がないので松葉をちぎる事もできなかったが、今回比較して、「たぶん黒松」と言う黒松とは違った。「あれと同じ松」と呼んでいた松は違う松だった。
 「たぶん黒松」はもともと家の陰にあるので、黒っぽい松だった。「あれと同じ松」はそもそも朝日が入るので普段から明るい松だった。

 今年はっきりとしました。「たぶん黒松」は黒松系、「あれと同じ松」は葉の長さも松ぼっくりの形状も違う赤松系でした。日が当たるから明るい松だったのでは、赤松だったから赤みが強かったのでした。
 黒松と赤松の違いがわかって、少し大人になった気分!
二つの松ぼっくりを見ていると形状の細かな違いもわかってくる。並べてみるとわかる。実際には、アイグロマツ、アイアカマツと呼ばれる自然交配種があるので、目視でそこまではわからない。なので、黒松系、赤松系という表現しているのだけど、盆栽だった松がここまで大きくなったもんだね。盆栽にしておけば、こんなに剪定で格闘しなくて済んだのに・・・くそおやじめ!
 というわけで、もう一本の黒松ではなく、赤松をぶった切ってやりました。
 うちには黒松、会津五葉松、赤松の三本があります!

 で、松の種は例によって無分別プランターにばら蒔きました。無分別プランターの下地はクロコスミアの球根、ハイビスカス・トリオナムの種なんかが蒔かれています。そんなことは完全に無視して、松の種が赤黒混合で蒔かれました。
 で、それで思い出したように忘れていたヤグルマギクの種も今更に蒔きました。
 肥料も追加されずにラナンキュラス達が育ち始めたその脇で、今年もむやみやたらに種子が蒔かれました。育てるものなら育ってみろ! 育ったやつだけが庭の住人だ!!

 先の柿や紅葉の剪定で日当たりが良くなった結果、紅葉全体に日が当たり、紅葉が一気に進みました。Twitter で小石川後楽園の紅葉が紹介されていました。照らされた紅葉と建物の陰影の色っぽい写真でした。うちの庭は狭いので味気ない塀をかわして撮ろうとすると、紅葉はこの角度しかなくて、隣の屋根が写り込みます。瓦屋根なのが幸いで、陰だけなら寺社仏閣の趣きです。この切抜き方以外ではつまらない写真なんですけどね。

 これで冬の剪定、年内の剪定は終わり。庭仕事として、剪定ゴミも最低限の処理をしたので、あとは虫や菌に任せます。赤松が日向でヒートアイランド現象に晒されているのは残念です。松茸は期待できない。日陰の黒松も乾いているなぁと思っていたのに。
 来年はどんな気象になるんでしょうね。コロナは対して気にしていない。生きていた者勝ちなのは、自然界の基本原則。もっと死んでくれていいです。大事な人は、自分とつながりがある人だけ。仮にネット上だけのつながりでもね。つながりのない人が何人死んでも気にしない。高齢者が死ぬのは当たり前。
 松が枯れたら悲しいけど、人が枯れるのは仕方がない。自分も枯れてきたので、辿りつくところがどんなところか、心構えで愉しまないと・・・

赤と黒 松と呼びたい 二色鍋
冬酒に 鮭と紅葉の箸置きよ

旧年中の決着へ

 ブックオフで予約をして、少しだけ外出したかったので店舗受け取りにした。老母も買い物に行きたいというので、そのまま荷物持ちとして合流し、荷物だけ持って先に帰る。ちょっとスイッチが入ったので、消毒・手洗いの後でマスクも庭作業用に交換した。
 スイッチが入ったというのは、外出して動くモードになったという意味とついに女郎蜘蛛が巣からいなくなったという二つの意味だ。

 女郎さんがいなくなったので、柿の木の大剪定の続きをする。不安定な足場で主幹を鋸るのはなかなか面倒でね。運動しなくなって久しいので鋸を握る握力も枝や梯子を踏む脚力、体を支える体幹の筋力と悉くが衰えていて辛いのなんのって・・・
 日照を巡り制空権を争っていた柿の木、時に残虐な日射を遮って陰を提供してきた柿の木は、その大空を開放した。と大層に言いたくなるほど、ぶった切った。
 主幹を落とすのも大変で、下に生える様々なものを巻き込むので折れた段階で引っかかりそうな脇枝をさらに鋸る。主幹の先で手が届かなかった部分がついに細切れになり、ほぼ丸太だけになったところで抱えて下ろす。
 その勢いで紅葉まで剪定してやったぜ。柿は落葉樹だから、枝だけになっていて楽だけど、紅葉はまた色付きの途中で茂っているからちょっと痒くなる。紅葉もユキノシタ地帯に陰を作っているので、切り過ぎるのとヒートアイランド現象が加速しそうだけど、程よい感じに小さい木になった。

 地元の今川焼き屋は年末頃にサービスのハガキが来るので、ほぼ毎年買っている。餡子が好きなんです。今は東京でも今川焼きって言わなくなってるのかな? ここで書くにあたって、念のため店の情報を検索したら、大判焼きってことになっていた。面白いのは、客の口コミを読むと、多くの人が今川焼きと書き込んでいること。
 古くからの調布市民ならおそらく「今川焼き」が標準呼称なんだと思う。多分、二位ぐらいで「みやこ焼き」。ずっとみやこ焼きは一般呼称だと思ってたけど、調布にある店に由来していたらしい。でも、その店はもうない。
 会話とかで他地方出身者に気を使う場合だけ大判焼きという慣れない言い方をするかも。
 つまり、老母を気遣うフリをして、今川焼きを買いたいのとブックオフに行くのが目的で、コロナ禍の調布駅前に出張ったわけです。
 で、感染したかもしれないし、勢いで剪定をしちまおうと・・・

 家を出る時に外から見て気付いたけど、庭の松に松ぼっくりがなっていた。親父の生前は、松をばかばか切るので松ぼっくりがならない木なんだと思ってたけど、自分の管理下では剪定回数も少なく、意図的に松ぼっくりを期待して切らなかった部分もあるので、ちょっと嬉しくなった。松ぼっくりを見たからにはばっさり切ってしまいたい。
 黒松も随分大きくなってしまってね。親父の遺品とも言える2連スライダー梯子を引っ張り出すのが一作業なんだけど、出したよ。引っ張り出した。ついに黒松に手をかけたよ。

 上の写真はもう切り落として庭に引きずり出した後。老母に道を見てもらって、道に松を落とした時の音は鈍くなかなか響く音だったよ。この松の木もざっと3分の1ぐらい落とした気分。虫がたくさん付いていて、目立つのは踏み潰したけど、見たことのない虫だった。
 数年前から日本全国で松枯れが問題になっているから、こいつかと思って見つけたのは全部潰したけど、後で検索したら「マツヘリカメムシ」っていう外来の害虫で、カメムシなんだけど臭いが洋ナシのようないい香りだとかって書いてあった。写真も撮ってないし、臭いも嗅いでない。惜しいことをした。
 松の主幹を切るのが大変だった。松脂。冬は松脂がよく出るから剪定期だってことで、満を持して、勢いを駆って切り始めたんだけど、松脂が鋸を鈍らせ、柿の木の時点で握力が限界に近かったから、もう姿勢を維持する体幹も危うかった。
 確か「松を切る時は○○を使う」みたいな話を何かで聞いたことがあって、10分程重い鋸と格闘してから思い出したようにオリーブオイルでも塗ってみようか思った。玄関に入ると消毒用アルコールが目に付いて、試しに鋸に噴きかけたら、松脂が溶ける!
 松を切る時は「酒・アルコール」を塗るといいみたい。アルコールをスプレーしたら鋸が軽くなって、あっという間に切れちゃった。もともと道側に傾いていたから次第に浮き始めて、あっという間。
 コロナ禍で、初めて得した気分になった瞬間。消毒用アルコールのお陰です!

 で、無事に松ぼっくりも回収して楽しんでます。写真も撮って・・・なんてやってたら、手に松脂がべっとり・・・
 ここでも、松脂=植物油脂から「石鹸作り」や「ポテトチップスと一緒に食べるとガムが消える」なんて知識を思い出した。手に付いた松脂は塩を揉みこんで洗うとべとべとせず水で流せます。最初は塩水ではなく、塩を揉みこむ方がスクラブ効果でさっぱり手洗いできるね。「鹸化」でGoogleってみてよ。大雑把に言うと脂肪酸とナトリウムの結合の話。多分そういうのなんだと思う。
 鋸が錆びたり、松に無用の塩害を与えるので切る時はアルコール。手に付いたぐらいなら塩。服もアルコールがいいみたいだね。
 化学は得意ではないのでなんとなくなイメージで結果オーライな勢い重視。

 というわけで、懸案だったけど予定していなかった松ぼっくり採取、松の剪定までしたのでくたくた、草臥れた。
 松の挿木に挑戦してきたけど、種が採取できたのでうまくすれば、庭の黒松の第二世代が生まれるかも。
 五葉松は松ぼっくりをつけないね・・・
 で、あと一本、黒松が残っているんだけど、これはまた今度にしようかな・・・
 Twitterで書きたかった物語もあったけど、へとへとで難しいね。
 でも、ブログを更新するぐらいの気力はあったね・・・

松脂や 霜月の鋸鈍る
幹断てば 庭の寒気も身の老いも